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米国でバンド - バンドの売り込みに必要なこと

バンドは起業みたいなもの

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バンドをやっていてよく言われたのは、

 

「いい年して、そんなことにのめりこんで…」

 

これに尽きます。

 

特に家族が言います。

 

勿論、家族が応援してくれる環境の人もいれば

 

家族が何とかやめさせようと

 

あの手この手でやる気をそぐような言葉を投げてきます。

 

何を目指してバンド活動しているかによりますが

 

ここでは、レコード契約を目指したバンド活動に絞って

 

話していきます。

 

音楽を生業として生きる覚悟

まず、プロの定義ですが、ウィキペディアでは

 

「主たる収入を得るために特定の分野に従事している(人)」

 

を指しています。

 

音楽の他に副業はしなくとも生活していくことを目指した音楽活動の覚悟をすることは

 

凄い覚悟だと思います。

 

成功するかどうかは別として、まずその強い意志を持つことが

 

恐らく起業にもあるかと思います。

 

メンバー集め

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起業は、種類にもよりますが、しばらく一人でできるものもあるでしょう。

 

音楽活動も、すべての楽器が弾けて歌も歌えて、レコーディングから

 

CD制作に至るまで全て自分でできたとしても、一人ではライブは難しいので

 

やはりメンバーを探すことになります。

 

それがスタートアップ企業の求人広告と通じるものがあります。

 

面接とオーディション

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企業では、送られてきた履歴書の中から選別して

 

可能性のある人との面接を組んでいきます。

 

バンドも、メンバー募集の広告から連絡の来た人の中から

 

経歴として最も可能性の高い人とジャムセッションを組みます。

 

企業の面接では、面接時でその人の全ては分かりませんが

 

印象や実際に自分でやってきていれば語れる何かを面接で

 

聞きだして、採用に値する人材かを決めていきます。

 

バンドでも、ジャムセッションで理由を特定できないけど

 

妙にしっくりくる人を選んでいきます。

 

バンドの場合、経験豊富な人は、技術力が高いことも多いです。

 

ギターやベースで文句ない腕前なんだけれど

 

一緒にセッションした時に感じる一体感を感じられない人も

 

実は多いです。

 

こういう方たちは、セッションミュージシャンに向いていると思います。

 

所謂、有名なアーチストのバックバンドで演奏する人達です。

 

企業で言うと、Over Qualifiedというやつかもしれませんね。

 

作曲と商品開発

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作曲活動は、企業のR&Dに当たるでしょう。

 

イデアを書いてはレコーディングしを繰り返す作業は

 

企業でいくつも作られるモックアップに近いものがあります。

 

多くのデモ曲の中から、アルバムに収まる数の曲を選別していきます。

 

捨て曲が沢山あります。

 

その捨て曲の多くは捨てられますが

 

プロの世界だと、かなり後になって「未発表曲」という形で

 

価値が生み出されることもあります。

 

写真と同じで、無駄にとり失敗すればするほど

 

腕も上がるというものかもしれません。

 

CDは、アルバムの値段が決まっていますが

 

商品開発の場合は、この段階で利益がとれるような構造になっていない場合は

 

利益がとれるよう本当に必要でないものをそぎ落としていき

 

高収益を生むような商品に落とし込んでいくのだと思います。

 

CDジャケット制作とパッケージ制作

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次はマーケの仕事になってきます。

 

ローカルバンドの場合は、全て自分でやらなければなりませんが

 

企業で言うと、開発する製品が決まったら

 

マーケで仕様説明や売れそうなパッケージデザインに取り掛かるでしょう。

 

この過程は非常に似ています。

 

当時は、外注するリソースも分かりませんでしたが

 

もし今同じことを続けていたとすれば

 

レコードジャケットを外注してプロっぽく見せていたと思います。

 

またこの時点でアルバムのタイトルも考える段階ですね。

 

私は、フルアルバムは作れなかったですが

 

どのCDも10曲も入らないくらい、長くても30分で全て終わるくらいのものしか

 

作っていません。

 

最後に作った5曲入りのCDには、Break Throughというタイトルをつけました

 

Break Throughしませんでした。

 

ただ、今まで作った中では、エンジニアも一番良かったし

 

音質も一番良かったし、曲も人に聞かせられるレベルになりました。

 

そのCDを最後にバンドを解散しましたが

 

恥ずかしくない作品を最後に作れたのは満足です。

 

商品が売れるのには、様々な側面が同時に功を奏して初めて売れると思います。

 

日用品であれば、商品の機能が最高でも、それを3秒で伝えられるパッケージが

 

必須です。

 

3秒でお客さんを惹きつけたパッケージがあっても

 

店に並んでなければ、惹きつけようがありません。

 

店に取り扱いされても、欠品していたら意味がありません。

 

SNSでかなり話題になっていても

 

店にもなく、ECでも買えない状況になっていたら

 

何も売れません。

 

製品が出来上がった後に必要なものは

 

タッチポイント

 

です。

 

人は、いい商品を見かけたときに、まだこの時点では購入しません。

 

帰りがけにスマホで見かけた商品がたまたまいいなあと思った製品でした。

 

帰りの電車の窓にその製品の広告があり、

 

「あっ!さっきのやつだ!」という瞬間がありました。

 

家の最寄りの駅で降り、改札出た直後のスーパーで

 

広告に出ていた製品が、棚に並んでいるのを見かけます。

 

「あっ!さっきのやつだ!」の瞬間がまた来ます。

 

でもまだ買っていません。

 

家に帰ってYouTube見ながら夕飯を食べていた時

 

先ほど棚に並んでいた商品の広告がYouTubeで流れました

 

ここで初めて、アマゾンで製品の特長を調べます

 

ここで初めて価格が値頃感抜群な価格だということがわかり

 

一つ買ってみようと購入するをクリックします。

 

恐らく、これくらい多くのタッチポイントがあって

 

私は初めて購入します。

 

製品の機能の良さや質の高さだけでは

 

決して売れません。

 

その製品プレゼンを見たときに直感的に感じた値頃感と

 

実際の値段が非常に近い場合

 

初めて、買ってみようかな、という気持ちになりますが

 

そこに購入ボタンがあるから購入に至りました。

 

しかし、買ってみようかなまでいって、店に行ったら

 

棚にすぐに見つからなかった場合

 

店員に聞くのが苦手な内気な人なら、家に帰っています。

 

また商品を見つけ手に取ったけど

 

レジに大行列ができていた場合に

 

並ぶのが嫌いな人なら、次の機会に回されるでしょう。

 

こういう偶然のいい条件、悪い条件が重なったときに

 

初めて売上があがる奇跡のたまものなわけです。

 

この奇跡を起こすには、多くのお金がかかります。

 

だから認知されていない商品は売れないのです。

 

ましてやローカルバンドの音源など

 

タッチポイントがほぼ内に等しい中で

 

プロを目指すということが

 

どれだけ困難なことなのかがここで分かります。

 

大量生産

CDは、量産とまではいきませんが、まずは例えば200枚を発注します。

 

日用品であれば、工場のラインでの最低ロット数を生産します。

 

この生産で出来上がったものを、どのルートで売るかということも

 

企業もバンドも似ています。

 

メジャーレーベルであれば、昔は、卸を通して、全国のCD屋に卸していたでしょう。

 

ローカルバンドは、そんなことはできません。

 

当時は、まだiTuneはなかったので

 

  1. バンドのライブ経由
  2. バンドのウェブサイト経由
  3. バンドのMySpaceSNS)経由
  4. 直接売る

しかないし、本当に売れませんでした。

 

そこに唯一あったのが、ある意味、CDのEC版

 

CDBABY

 

というサイトです。

 

これは、ローカルバンドなら、誰のCDでも販売をしてくれます。

 

入金はまとまった金額にならないと入金されません。

 

恐らく振込手数料がかかるからだと思います。

 

そこを通しても売れないのですが

 

ただ、偶然にもブラジルのメディアから連絡をもらい

 

何かしらの経由で私のバンドの曲を聴き

 

ブラジルで紹介をしたいが、ライブをするために来れるか

 

という問い合わせでした。

 

ただ、その当時、ローカルバンドをだます詐欺の被害にあい

 

日本円で8万円くらいですが、被害にあった経験があったため

 

これもそのたぐいかと思いバンドのメンバーも

 

いい話には何かあるということで、丁重にお断りしました。

 

でもそれもCDBABYのような店があったおかげで起きたこと。

 

因みに、詐欺というのは、ローカルバンドが

 

フェスに出られるという内容のイベントで

 

$800で出られるという内容で

 

ものは試しと思い申し込みました。

 

それは、架空のイベントだったのです。

 

ローカルバンドの人達は

 

そもそもお金なんてほとんど持っていません。

 

そういう人の夢を使って詐欺をしようと考えることが

 

正直残念。だまされた私も残念。

 

幻のMySpace

皆さん、MySpceっていうSNSを知っていますか?

 

FBやTwitterがなかったころ、バンドのウェブサイトを作れない人の

 

お役に立っていたソーシャルメディアMySpaceです。

 

バンド情報、ライブ日程、バンドの情報を載せるもので

 

ローカルバンドの情報を得るときによく使っていました。

 

今でもあるみたいですね。

 

myspace.com

 

ライブブッキングと営業マンのアポ取り

CDを売るために最大の販促はライブです。

 

ライブをするにはブッキングが必要です。

 

ブッキングは、

 

  1. ブッキングエージェントに依頼
  2. 自分で直接Venueへ連絡

この二つです。

 

勿論自分で直接ブッキングをしますが

 

バンドの経歴が薄いとブッキングしてくれなかったりします。

 

Venueは、バンドのチケットからの売り上げはあまり期待していません。

 

70%くらいは、バンドに来てました。

 

最もVenueが期待しているのは

 

バンドがお酒を飲む人をどれだけ連れてくるか、ということです。

 

Venueは、バーの売り上げを毎晩最大化することを心がけており

 

バンドはあくまでも、お客さんを連れてくるためのツールです。

 

高校時代、日本のライブハウスからはノルマを課され

 

そのノルマ以上のチケットを売ったら

 

こちらにバックが来ますが

 

アメリカは、ノルマなしで最初から70%ほどのバックをくれます。

 

Venueは、バンドがライブをやっていますが

 

基本的にただのクラブなのです。

 

企業になぞらえると、営業マンは商談前にアポどりをしますよね。

 

販促内容などは、商談で協議されますが

 

そもそも商談がなければ、販促はできませんよね。

 

それと同じで、営業マンのアポどりが難しいのと同様

 

バンドのブッキングも難しのです。

 

しかしアポが取れれば、周知される機会が拡大します。

 

ライブ当日

ライブ当時は、ライブを実施してバンドのプレゼンができますが

 

同時にCDや販促グッズを持っていれば、そこで販売ができます。

 

それ以外だと、一緒に演奏したバンドと仲を深め

 

次のブッキングで招待してもらうなどネットーワークも構築します。

 

プロのバンドは、CDを作ってもCDからの売上が殆どありません。

 

今度、詳しく説明しようと思いますが

 

プロのアーチストがレコードを制作するのは

 

レーベルのから一時的にお金を借りて作っていると思ってください。

 

例えば5000万円かけてCDをするところまで作ったとします。

 

この5000万は、レーベルが立て替えているので

 

5000万円分をライブや様々な活動をしてCDを現金化し

 

5000万円を全て取り戻した後、その後の売上がアーチストに入る仕組みになってます。

 

その仕組みを知らないローカルバンドは多くいますが

 

そういう仕組みを利用して、バンドから搾取するレーベルもいることも

 

事実です。なので気を付けましょう。

 

ライブ前の告知

順番が前後しましたが、

 

ブッキングが完了したら、ポスターやメディアの力を使って

 

最大限の告知をします。

 

ラジオ、ポスター、新聞広告、インターネット広告

 

当時は、ラジオと新聞広告が非常に有効でした。

 

企業も押したい商品の発売が決定したら

 

広告宣伝をしますよね。

 

それと同じです。

 

まとめ

長いこと書きましたが、

 

いい年して、いったい何やってんの?

 

と言われる筋合いはない!

 

という根拠を書いてきました。

 

勿論、成功せずに今はバンドをしていませんが

 

最初の起業に失敗してお金が残らなかった人と

 

最終的な見てくれは同じです。

 

バンドをやっている人が偶然にこのブログを発見することの方が奇跡ですが

 

もし偶然にでもこれを読んだとしたら

 

バンド活動は胸を張れる仕事なので

 

誇ってください。